大判例

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東京地方裁判所 平成10年(特わ)347号

主たる事務所の所在地

東京都足立区千住二丁目八番地

医療法人社団たかみ会

(右代表者理事長 小村清美)

国籍

大韓民国

住居

東京都杉並区高井戸東二丁目一二番一〇号

医療法人役員

高興弼

一九四四年七月一八日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官永村俊朗及び弁護人(私選)大谷直各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人医療法人社団たかみ会を罰金三四〇〇万円に、被告人高興弼を懲役一年六月に処する。

被告人高興弼に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人医療法人社団たかみ会(以下「被告法人」という。)は、東京都足立区千住二丁目八番地に主たる事務所を置き、人工透析等の医療を提供する医療施設の経営を目的とする資産の総額三億三五六八万七六九三円の医療法人であり、被告人髙興弼は、被告法人の理事として、同法人の業務全般を統括しているものであるが、被告人髙は、被告法人の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の仕入れを計上するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  平成四年四月一日から平成五年三月三一日までの事業年度における被告法人の実際所得金額が一億三三〇一万二一二三円(別紙1の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同年五月二八日、東京都足立区綾瀬四丁目一四番一〇号所轄足立税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四九六五万九五三円で、これに対する法人税額が一六二四万七四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成一〇年押第七三〇号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同法人の右事業年度における正規の法人税額四九二九万七八〇〇円と右申告税額との差額三三〇五万四〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ

第二  平成五年四月一日から平成六年三月三一日までの事業年度における被告法人の実際所得金額が一億二九七九万三八五八円(別紙2の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同年五月三一日、東京都足立区千住旭町四番二一号所轄足立税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一九八三万五一四三円で、これに対する法人税額が五八三万七八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同法人の右事業年度における正規の法人税額四八二八万一二〇〇円と右申告税額との差額四二四四万三四〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ

第三  平成六年四月一日から平成七年三月三一日までの事業年度における被告法人の実際所得金額が一億六七三九万八二七五円(別紙3の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、右法人税の納期限である同年五月三一日までに、前記第二記載の所轄足立税務署長に対し、法人税確定申告書を提出しないで右法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同法人の右事業年度における正規の法人税額六二七七万四二〇〇円(別紙4のほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人髙及び被告法人代表者小村の当公判廷における各供述

一  被告人髙の検察官に対する平成一〇年一月二七日付け(八丁のもの)及び同年二月七日付け(二通・一五丁のもの・九丁のもの)各供述調書

一  検察事務官作成の平成一〇年二月六日付け及び同月九日付け(二通・租税公課に関するもの、雑収入に関するもの)各捜査報告書

一  検察事務官作成の電話聴取書

一  大蔵事務官作成の医療収入調査書、期首医薬品棚卸調査書、当期医薬品仕入高調査書、当期給食材料費調査書、期末医薬品棚卸調査書、従業員給与手当調査書、販売費及び一般管理費・支払利息調査書、通信交通費調査書、受取利息調査書、支払手数料調査書、特別損益調査書並びに損金の額に算入した道府県民税利子割調査書

判示冒頭の事実について

一  被告人髙(平成一〇年一月二七日付け・六丁のもの、同年二月七日付け・八丁のもの)及び被告法人代表者小村の検察官に対する各供述調書

一  東京法務局城北出張所登記官作成の商業登記簿謄本

判示第一及び第二の事実について

一  大蔵事務官作成の法人税額から控除される所得税額調査書

一  足立税務署長作成の証拠品提出書

一  大蔵事務官作成の領置てん末書

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の退職金調査書

一  押収してある法人税確定申告書(医療法人社団たかみ会5/3期分・平成一〇年押第七三〇号の1)

判示第二の事実について

一  押収してある法人税確定申告書(医療法人社団たかみ会6/3期分・平成一〇年押第七三〇号の2)

(法令の適用)

被告人髙の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法(平成七年法律第九一号による改正前のもの・以下、同じ。)四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人髙を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判が確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとし、さらに、被告人髙の判示各所為は被告法人の業務に関してなされたものであるから、被告法人については法人税法一六四条一項により同法一五九条一項の罰金刑に処せられるべきところ、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告法人を罰金三四〇〇万円に処することとする。

(量刑の理由)

本件は、人工透析等の医療を提供する医療施設を経営する被告法人の理事であり、被告法人の業務全般を統括していた被告人髙が、被告法人の業務に関し、架空経費を計上するなどして、三事業年度にわたり、法人税をほ脱した事案である。

被告人髙は、本件において、自己の将来の事業資金や自宅購入資金等を蓄えるために、納税の義務を不当に免れていたもので、動機において酌量の余地はなく、その手口は、医療器具の仕入れに休眠会社を介在させての架空仕入れの計上、給与の架空計上や水増し計上、バックリベートの収入から除外等の方法により虚偽過少の申告をしたほか、平成七年三月期には無申告のまま納期限を徒過させているのであって、その態様は巧妙悪質であり、ほ脱税額は合計一億三八二六万八〇〇〇円と高額で、ほ脱率も平均約八六・二パーセントと高率であり(なお、平成七年三月期には、納期限後に確定申告をしているが、この確定申告においても、ほ脱税額五八八六万二三〇〇円、ほ脱率約九三・八パーセントの過少申告を行っている。)、結果も看過できない。これらの諸点からすれば、被告人らの刑事責任は重大である。

他方、被告法人においては、既に修正申告の上、本件に関する本税、加算税、延滞税合計一億八八五三万九六〇〇円を完納していること、被告人髙及び被告法人代表者小村は、今後は税理士に一任して正当な税額を納付する旨を誓約し、反省の態度を示していること、被告法人には前科前歴がなく、被告人髙にも道路交通法違反の罰金前科一犯があるのみであることなど被告人らに有利な事情も存する。そこで、当裁判所は、これらの一切の事情を総合考慮し、主文のとおり量刑した次第である。

よって、主文のとおり判決する。

〔求刑-被告人髙につき懲役一年六月 被告法人につき罰金四〇〇〇万円〕

(裁判官 成川洋司)

別紙1

修正損益計算書

自 平成4年4月1日

至 平成5年3月31日

医療法人社団たかみ会

<省略>

別紙2

修正損益計算書

自 平成5年4月1日

至 平成6年3月31日

医療法人社団たかみ会

<省略>

別紙3

修正損益計算書

自 平成6年4月1日

至 平成7年3月31日

医療法人社団たかみ会

<省略>

別紙4

ほ脱税額計算書

自 平成4年4月1日

至 平成5年3月31日

医療法人社団たかみ会

<省略>

ほ脱税額計算書

自 平成5年4月1日

至 平成6年3月31日

医療法人社団たかみ会

<省略>

ほ脱税額計算書

自 平成6年4月1日

至 平成7年3月31日

医療法人社団たかみ会

<省略>

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